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診断薬薬事業務のスペシャリスト

 

薬事品質保証でビジネスの根幹に携わる  

 

薬事品質保証 本部長 直井由実子


「責任範囲を広げ、挑戦したい」転職を決意

―薬事品質保証の責任者としてチームをリードされていると伺いました。入社のきっかけについてお話しいただけますか。
サーモフィッシャーサイエンティフィックで働いていた知人から声をかけられたことがきっかけで2018年に入社しました。社会人の最初の頃は、別の企業で診断薬の研究開発や医薬品の品質管理を5、6年担当していました。前の会社では診断薬の薬事申請を行うグループマネージャーのポジションでしたが、ちょうど大きなプロジェクトが終わり、薬事申請だけでなく、品質保証の仕事も含め、薬事品質保証全般に関わりたいと思っていた時期でした。サーモフィッシャーでの業務の役割・範囲は広く、私にとってはチャレンジでしたが、キャリアアップのために面接を受けて入社しました。

―大学での専攻について教えてください。
理系で生物工学を専攻していました。薬事品質保証というと「薬剤師なの?」と聞かれることもありますが、必ずしも薬剤師の国家資格を持っている人だけが行う仕事ではありません。私の場合、大学で学んだ生物工学の知識を直接仕事で使うということは多くはありませんが、やはり有機化学の知識や、データの読み込みなど理系で学んだことが日々の仕事で生きています。

―薬事品質保証の仕事について教えてください。特に薬事申請は審査を経て承認まで非常に長い時間がかかる印象です。申請から承認までどんなステップを踏むのでしょうか。
薬事の業務は、新製品や改良品の薬事申請を行い、認可を受けて販売できる状態にすることです。当社が扱う医薬品は主に検査薬ですが、新規で申請する場合はその検査薬が目的とする診断結果が得られていることを証明する「クリニカルデータ」を取らなければなりません。クリニカルデータを取るにあたっては、試験デザインを検討し試験計画書の作成が必要です。申請までに最低でも1年はかかります。日本で取るデータに加えて、本国でまとめてもらうデータのスケジュール調整も進めます。
晴れて申請書類を提出した後も、国の審査機関から照会があった場合は回答書を作って提出する必要があるので、認可が下りるまで時間はかかります。
品質保証業務は、会社が医薬品や医療機器などのライセンスを持って運用できるよう手順書を作成し、品質を保てる体制を整え維持します。薬事業務と品質保証、私はこの二つの業務の責任者ということになります。


ビジネスの根幹に携わる重要な仕事

―ビジネスを始めるために薬事業務と品質保証は重要な役割を担っているのですね。印象に残るエピソードを教えてください。
会社がビジネスを行う上で必要な環境づくりに携わることができるので、重要な役割を担っているという自負があります。また、薬事申請の時に審査がスムーズに進み、こちらの想定した計画通りに承認されるとうれしいですね。
最近チームの皆で喜んだプロジェクトがあります。「鳥関連過敏性肺炎」という疾患の診断薬の保険適用を受けた時のことです。日本では、医薬品や診療行為ごとに点数が決められている診療報酬制度が導入されており、保険点数が付いていないと医療機関で診療報酬請求できないため、取り扱っていただけません。審査の過程では、当社の要望を通すことは厳しいのではという指摘もあり、一旦申請を取り下げて再検討するという話も出て、承認までの道のりが長期化する可能性がありましたが、有識者の方の知見を得ながら粘り強く進めた結果、最終的に予定通り承認を得ることができました。非常にうれしいサプライズで、チーム全員で喜びました。チームの力だけではなく、社内外の力添えがあったからこそだと思っています。

―学生時代に経験しておくとよいことがあれば教えてください。
経験とは少し違うかもしれませんが、なんでも話せる気の置けない友人を作ることは大事だと思います。社会人になると、仕事関係の友人や知人はたくさんできます。ですが、学生時代の友人のように自分と全く違う世界で生きる人とつながると、いかに自分が狭い視野で物事を捉えていたかに気付かされることがあります。今はお休みしていますが、私は墨絵を習っていました。そこで出会う人たちも多様な世代やバックグラウンドを持っていて世界が広がりました。

―現在のチーム構成について教えてください。どんな人と一緒に働きたいですか。そして、サーモフィッシャーで身に付くスキルについて教えてください。
薬事品質保証のチームは私を含め7人で、薬事業務と品質保証業務に分かれ、それぞれ役割は異なります。ベテランぞろいというイメージを持たれるかもしれませんが、新卒2、3年目のメンバーもいます。情報のキャッチアップが非常に早く、チーム全体にとって良い刺激になっています。
薬事業務、品質保証業務ともに資料作成やデータ収集などエネルギーを要する仕事です。当局や製造元とのタフな交渉もあります。粘り強さを持っている人にぜひ来てもらいたいですね。また、診断薬の薬事業務経験者は市場に多くはなく、知識と経験を身に付ければ会社を越えて業界全体で貴重な人材になれます。

―最後の質問になりますが、サーモフィッシャーを一言で表現するならばどのような会社と言えるでしょうか。
変化に富み、世の中に新しい価値を提供する会社だと思います。スピード感があり、新製品や新しいサービスがどんどん生まれる会社です。私自身もゴールに向かって仕事を遂行する力や、急な案件でも臨機応変に対応できる力が身についたと感じています。